Absutact of BHmag2020

  •  共催:南部陽一郎物理学研究所 (NITEP)

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アブストラクト

<準備中>

伊形尚久(立教大学)

『高速回転するブラックホールの近傍からの光子の脱出』

ブラックホールの角運動量が臨界値に近づくにつれて、最内安定円軌道(ISCO)の座標半径は、ホライズン半径に近づく。この事実を考慮すると、ISCO上の光源が無限遠から見えるか否か、という問いに答えることは案外難しい。本公演では、この問いに答えるべく、ISCO上の光源から放射された光子の脱出確率や振動数シフトを考察する。最終的に、近臨界ブラックホールのISCOからの光子の脱出確率が50%を超えることや、脱出する光子のエネルギーが青方偏移するという結果を示す。

孝森洋介(和歌山高専)

『BZモノポール解の摂動解としての妥当性について』

BZモノポール解はゆっくり回転しているブラックホール周りの定常軸対称force-free磁場の摂動解として知られている。GRMHDのシミュレーションにおいては,BZモノポール解によるBZパワーとシミュレーションの結果を比較するなど,シミュレーション結果をよりよく理解するための物差しとしても用いられている。最近,Grignani et al (2018)において,BZモノポール解の解の存在について議論がなされた。彼らの解析によると,BZモノポール解は遠方でダンプするという境界条件とマッチしない。この発表では,Grignani et al (2018)を紹介し,BZモノポール解の摂動解の妥当性について議論する。

高橋真聡(愛知教育大学)

『宇宙ジェトにおける定在衝撃波』

小出眞路(熊本大学)

『自転するブラックホールのアルベン波によるエネルギー引き抜きの
 1次元フォースフリー磁気動力学シミュレーション』

自転するブラックホールのまわりにおいてアルベン波による「超放射」(superradiance)は起こらないと思われていた。しかし、これは波長の短い極限で示されているだけで、有限の波長を持つアルベン波では超放射が起こる可能性がある。実際、S. Noda, Y. Nambu,T. Tsukamono, M. Takahashi (2019)は有限の長さの波長を持つアルベン波では超放射が起こることを線形解析により示した。さらに、S. Nodaら(2019)はこのアルベン波の超放射はBlandford-Znajek機構とも関係することを明らかにした。われわれは、S. Nodaら(2019)によって示されたアルベン波による超放射の存在を確かめるために1次元フォースフリー磁気動力学(FFMD1D)の数値シミュレーションを行っている。FFMD1Dによる追試の結果について、講演で述べる。

吉田 至順(東北大学)

『強いトロイダル磁場と弱いポロイダル磁場を持った相対論的な星』

中性子星は強い磁場を伴う一般相対論的なコンパクト星として知られている。中性子星の磁場構造は、放出される電波パルスや付随する高エネルギー現象と深く結びついていて、非常に重要で興味深い問題である。しかし、今のところ、観測から得られる情報は非常に限られている。特に、中性子星内部に於ける磁場の構造に関する情報は全くない。その一方で、重力崩壊の数値シミュレーションで作られる原始中性子星の磁場構造を見るとトロイダル磁場が支配的となっていることが分る。これは電磁流体の差動回転による磁力線の巻き込みを考えると道理にかなっている様に思われる。しかし、これまでの求められている磁場星の平衡解では、このようなトロイダル磁場が支配的となっている解は知られていない。そこで、本研究では、数値シミュレーションで求められている様なトロイダル磁場が支配的でかつポロイダル磁場がゼロではない解を求めるための定式化行い、例として幾つかの具体的な数値解を求めた。中性子星に典型的な磁場の大きさでは、磁気エネルギーは重力エネルギーに比べて非常に小さいため、磁場は静的球対称の磁場がない平衡解についての摂動として扱った。

中井 直正(関西学院大学)

『ブラックホール撮像スペースVLBI計画』

地上VLBIによるAGNのブラックホール影の撮像は空間分解能の限界からM87とSgr-A*の2個だけが可能である。もっと多くのブラックホールを観測して一般的性質を明らかにするために、日本が非展開型のサブミリ波単一鏡を衛星に搭載し、より高い空間分解能?のVLBI観測を行う計画を紹介する。
米国も打ち上げるのであれば複数衛星によるVLBIとなり、UV平面を密に埋めることができて、よりよい像が得られる。

吉野 裕高(大阪市立大学)

『ブラックホールとスカラー場の系の物理(仮)』

野田 宗佑(揚州大学)

『Comprehensive model potential for gravitational wave spectroscopy of compact objects』

塚本 拓真(名古屋大学)

『Alfvenic Superradiance in Kerr spacetime』

三好 真(NAOJ/JASMINE Project)

『The jet and resolved features of the central supermassive black hole
 of M87 observed with EHT』

We report the result of our image reconstruction of the center of the giant elliptical galaxy M87 from the public data released by the Event Horizon Telescope Collaborators (EHTC). Our result is quite different from the image published by EHTC. Differences include (a) we found the jet structure which is consistent with previous lower-frequency observations in the scale of a few mas, while EHTC reported none detection of any jet component, and (b) we did not find any ring-like structure at the core, but just two features with the separation of 89 micor-asec. The two features may be a binary of SMBHs. Further EHT observations are required for identification. We could obtain the ring-like structure similar to that reported by EHTC by limiting the field of view to a narrow box, but which is very fragile. The absence of the jet and the presence of the ring in EHTC result are both artifacts due to their insufficient calibrations and the EHT array's u-v sampling bias effect.

南部 保貞(名古屋大学)

『ブラックホール磁気圏における超放射の構造』

ガンマ線バースト,活動銀河核などの高エネルギー天体現象のエンジンの有力な候補として,中心ブラックホールの回転エネルギーを磁場を通して外部に取り出すBlandford-Znajek機構(BZ機構)はアルベン波に対する超放射現象である.本講演ではアルベン波によって引き起こされる超放射現象の構造が,アルベン波に対するacoustic metricを導入することによって理解可能であることを紹介する.

中司 桂輔(立教大学)

『Non-Circular stationary axisymmetric spacetime』

これまでに知られている定常軸対称ブラックホール時空は全て円形条件と呼ばれる条件を満たしている.この円形条件は一般相対論の定常軸対称ブラックホール時空では常に満たされるが,修正重力理論を考えた場合これを満たしていないブラックホール解が存在することも可能である.本発表では修正重力理論における定常軸対称ブラックホール時空を考えた場合に,円形条件を満たさない解が存在するかについて議論する.

斉田 浩見(大同大学)

『巨大BHの強重力場での相対論検証の現状:PPNアプローチ』

Parametrized Post Newtonian(PPN)の方法で重力理論の検証を実施している。観測量は、銀河系中心の巨大BHの強い重力場の中で運動する星S0-2から届く光の赤方偏移である。重力波で見ようと思うとLISAなど宇宙重力波干渉計が必要なターゲットであるが、光(赤外線)による天文観測なら既に観測できる。現在の測定精度で、1PNオーダーの効果が測れる。そこで、PPN形式の方法で1PNオーダーにおける重力理論の検証(PPNパラメータへの制限付け)を目指した解析を行っている。理論計算と比べる測定データは、我々がすばる望遠鏡で取得したデータと、欧米グループの公開データである。PPN形式に基づく重力理論検証の途中経過を報告する。